Sweet Mulberry Farm Diary
スウィート・マルベリー・ファームでおこる出来事
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旅立つ時



このマルベリーファームに来て
たくさんの月日が流れた。
それも過ぎてしまえば、あっという間だったな……。


春の息吹を感じる大地を前に、
僕にしては珍しく、感傷的になってみる。


経営を学ぶためにやってきたけれど
いよいよ、研修を終えて
実家に戻るときが、やってきた。


寂しい……という、感じではない。

けれど……
ここは、本当にあたたかい場所だったな。

何より、学ばせていただいたことは
本当に大きい。
ここでのことを生かして、
実家の農場をもっと立派に……

決意を新たにして
深呼吸をすると、農場の隅に
いつの間にか見慣れた、人影を見つける。

いつも、おどおどして
要領の悪い
……世話の焼ける、誰かさん。



まったく

いつまで、そう、おどおどしているんですか。

ああ……進歩のない人ですね。

ここで得たものは
ここで育んだものは
ここで実らせたいと思ったものは

所詮、あなたにとっては、その程度のものだったのですね。

フン…
まぁ僕には関係のないことですが。

大事なことを、言えない様な人間……
この先とても、大きな農場の跡なんて、継げませんよ。

まぁ、せいぜい頑張って下さい。




心なしか、
目の奥に光が灯るのが見えた気がする。

自嘲気味に、僕はその場を後にした。

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慌しい毎日



まったく!!!

ケネスさんまでパーティーに行くからと言って
周りまで大騒ぎし過ぎなんです!!


いいですか!
冬の間、雪が積もったからと言って
仕事がないわけじゃないんですよ!

春に植える苗作りに
たい肥作り
農具の手入れだって、
今のうちにやっておかなければならないのに。


ケネスさんがパーティーに行くまでの間
僕たちが、しっかりと仕事をこなさなきゃならない。

それなのに、キース君は相変わらずだし、
リックさんも、呑気にしているし……


ハァ……


もうすぐ、ここでの修行期間も終わるというのに。

リックさん、
このままでやっていけると思っているんですか。


アダムさん!
笑っている場合じゃないですよ……。





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新年の初仕事



新しい年を迎え、今日から仕事はじめ。

…とはいっても、まずは昨日まで続いた雪の片付けから…


こうも積雪の日が続いては、
しばらくまともな農作業はできそうにないな。

まあ、冬越しの支度は済んでいますから
農作物の心配はないと思いますが…


アダムさんを筆頭に、使用人一同
スコップを持って外へ出ると
その異様な風景に唖然とした。


おかしな顔をした丸い巨人が、
1、2、3…いや、どう見積もっても
20体ほどはいるだろう。

彼らはなかなかの図体の持ち主で
アダムさんばりに恰幅が良い。

庭にズラッと並んだそれは、
今日の朝日にやられて
少しだけ溶けているから、余計に…
不気味だ。


―アダムさん、笑ってる場合じゃないですよ!


スコップ一つでは敵いそうもない
敵を見上げ、ため息をつく・・・

屋敷の中で、まだ眠っているであろう
容疑者を起こすことが、どうやら僕の
新年の初仕事となりそうだ。
 
 
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ふと思い出す



この間、新聞か何かで見た気がする。
遠い東の国には、『お盆』という行事があって、
先祖を祀るらしい。

その度、実家を離れた者は帰省して、
『お盆休み』を過ごすんだ、と。


帰省、か…


そういえば僕も、暫く帰っていなかったな。
ずっとこのファームの仕事に励んでいたし、
手紙も…思えば書いていない。

たまには連絡をした方がいいのだろうか。
いや、連絡がないのは元気である証拠、とも言うし…


しかし、お嬢様方のあの様子を見ていたら、
何だか家族が恋しくなってしまったのも事実。



休暇を頂くのは申し訳ないから、手紙だけでも書いてみようか。



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変わらない農場




旦那様と奥様がご帰還されても、
この農場は相も変わらず騒がしい。
いや、お二方にとってはその方がいいのか…


まぁ、僕は皆さんがちゃんと、
やるべきことをやるべき時間にやってくれて
いるのなら構いませんけどね。
ただ、アダムさんに捕まるのはもう勘弁だ。

キース君まで来てしまった時はどうしようかと…
セルマさんに気付かれやすくなってしまうでしょう?
飛び火が来る前に退散。
これに限ります。


しかし…こうも雨が降らないと、この季節は
気温が下がりにくくなっていて困る。
まぁ、キース君もちゃんと働いているみたいだし、
少しくらい暑くても…

…いや、眼鏡が曇るのは困りものか。
濡れるよりマシだけど、帽子も暑い。


そうだな、この帽子も洗ってもらおうか。
えっと…サンディさんはどこだろう。




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農場主の謎



アダムさんってば…仕事で忙しい僕に、

「お前達もこれで仲間入りじゃ!」

なんて言って、強引にワインを飲ますんだから酷いですよ。
とりあえず、昨日はいい盾がいたから
僕は一口で逃げましたけどね。

僕の足を引っ張るからですよ。
二日酔いで今日も…なんて、勘弁して下さいね。



半年振りにお会いしたアルフレッド様とは、
僕がアダムさんから逃げたこともあって、
あまり多くはお話出来ませんでした。

「この農場も、立派になったんだな…」

ふと、そう零したアルフレッド様の表情は、とても柔かくて…
これがあの四姉妹の父なのか、と目を疑ってしまったほど、
というのはここだけの話。


そういえば、アダムさんに海外の土産話をされていたような…
……海外?

思えば、聞いたことがなかったな…
何故ご夫妻は海外へ、しかも長きに渡って行かれるのだろう。
昨夜のうちに聞いておくべきでした。
またワイングラスの顔を見るなんてことは避けたいので。

セルマさんにバレたら、リックさんはともかく
僕まで信用されなくなってしまう。


お二人がお帰りになってから、普段は働かないような人が
急に真面目に働きだしたり、普段は厳しい人が優しい口調で
授業をしたり、と…

なんとなくではあるけれど、騒がしいながらに
いい方向へ向いているような気がします。
ケネスさんは相変わらずなようですけどね。


さて、僕も仕事が一段落したら、勝手に休憩しているであろう
どっかの誰かさんを、注意しに行くとしようかな。



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